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いつも発見がある、「小さいくせにひと通り」なお店。

1997年創業。当初は五反野駅から徒歩3分ほどの場所にお店を構えましたが、その後、家族が増えるなどして移転を決意。ご実家にほど近い今の場所に移られたのが2006年。今年で22年目を迎える自然食品・有機野菜・生活雑貨のお店です。

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足立区で、西新井で、住宅街の中にポツンと、「有機野菜・自然食品・生活雑貨」のお店。

前回ご紹介したmaruca coffeeといい、「ここにない価値を作る」のがナナシノ商店街ですから、ある意味、当然といえば当然、と言えなくもないのですが......。それでもやっぱり聞かずにはいられません。

 

「なぜ、この地で?」

と。

食べ物を変えたら、体が変わった

(はる菜オーナー:増田浩一さん)最初は普通に会社員をやっていたんです。学生時代から食に興味があって、厨房機器を扱ったり、飲食店関連の仕事をしている会社に勤めました。その後、和食屋に転職すると、魚に興味が出て、築地で仲卸の職に就くことに。

面白かったですよ、魚に詳しくなれるし、美味しく食べられるし。

ところが1年半ほど立った頃かなぁ、それまで和食屋で割と夜型生活だったのが、築地で超朝型になってから、体が悲鳴を上げてしまって。

アトピーが重くなって、熱も下がらず、不眠症になっちゃった。挙句、魚に触ると手が腫れるようになっちゃって......。残念だけど、辞めるしかありませんでした。

体を壊す前に、たなかれいこ先生がやっている料理教室に通っていました。

僕が食の基本を教わったのは、この先生のところです。

和食は素材や調味料にこだわるけれど、その基本を学びたいと思って、本を読み漁って行き着いた先生でした。調味料のこと、オーガニックのこと、食肉のこと、油のこと。このとき先生に教えてもらったことが今の自分の基礎になっています。

体を壊した後も先生は心配してくれて、教室の裏方の仕事などをさせてもらいました。そして自分用に食材や調味料など、体に取り入れる物を変えていったんですね。そうすると、体も整って来るというのか、症状が落ち着いてきました。

そしてこのとき、「今食べている物を売る仕事をしたい」と思い立ったんです。

もともと足立区生まれ、足立区育ち。当時、地元では自然食品を売るお店がなかったので、「ないなら自分で作ろう」と。

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食生活を見直した増田さんがまず変えたのが、基本の調味料類。店内にも製法や原材料で厳選された調味料が並びます。

お客様には、自分が「おいしい」と思ったものを

自分が食べられる物を売る店をつくろう!と思い立ってからは、各地の自然食品店を回ったそう。いくつもお店を視察する中で、だんだんとお店のイメージを固めていったといいます。

 

大先輩のお店でもある、北浦和の野良さんあたりが自分のイメージに近かったですね。野菜、肉、魚、お菓子、生活雑貨と、日常に必要な物がひと通り揃う店。

 

はる菜の特徴をひとことで表すと、「小さいくせにひと通り」。お店自体は小さくて、扱える量にも限りがあるけれど、必要な物は全部そろう可能性があるお店でありたいです。
 

はる菜さんに行くと驚くのが、カテゴリーの豊富さと、その商品量。お店のすべての壁面に、身長ほどの高さの棚。冷凍ケースに、冷蔵庫も。通路幅は自然と狭くなって、ベビーカーが途中までしか入れないのが悩みだそうです。

本当は、もっともっと置きたいものがあるんです。自分が知って、食べて、人にも知らせたいものが、まだまだたくさんありすぎて。今も実はお店の真ん中におっきな棚を作って、棚中に商品を並べたい欲求があるんだけど、それをやっちゃって大丈夫かとブレーキをかけています(笑)。売れればいいけど、食品ロスはどうなの!?って考えると、まだやれません(笑)。

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店内はカテゴリーも種類も様々な安心な食材・食品・雑貨が所狭しと並んでいます。すぐ後ろが棚、という場所ばかりなので、引いて写真を撮ることができないほど(涙)。でもどれもおすすめなのだから仕方がありません。

悩みは「発信」。もっともっと発信したい

これから力を入れていきたいことは何ですか?

 

やりたいこと、やらなきゃいけないことはいっぱいあるんですが、なんせ一人で店を切り盛りしているので、手が回らないというのが本音です。だけど一番は、発信することかなぁ。うちは小売なので、品物自体で発信しているつもりだったけれど、まだまだ伝わっていないなと思います。

例えば、スーパーで売ってる油とうちの油は何が違うの?とか。醤油で言えば本醸造、天然醸造ということ。そういうことを、もっともっと発信して、知ってもらいたいです。

若い頃は「うちの商品は他とは違うんだ」っていきがっていたところがあったけど、今は、それはちょっと違うなと。他のお店は否定したくない。それぞれのお店に必要としているお客さんがいらっしゃるのですから。 でもウチはこうなんだよってことを、いかに発信していくかが悩みどころです。

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知らせたい!という気持ちが溢れ出たかのような店内の張り紙。商品ひとつひとつの背景にあるストーリーを感じていただけたら。

受け手とのギャップを感じることも

いま何か悩んでいることはありますか?

 

この前、年配の方に「はる菜さんは<ハレ>の日に食べる物だね」と言われました。要するに、そうしょっちゅうは食べられない、特別な時に食べる物だ、と。違うんだけどなぁ、自分としては日常的に食べる物として提案しているんだけどなぁって。素材や作り方が違えば、そりゃぁ値段には表れてきますけどね。
 

個人商店なので、経営は楽じゃないし、現実的なことを言えば生活していかなきゃいけない。最近も、頼りにしていた自然食品店が閉店していくのを見て、正直しんどいこともありますよ。

それでも必要としてくれている人がいるから、続けられています。お客様から「おいしかった」「教えてもらってよかった」と言われるときがいちばん嬉しい。たまに何もおっしゃらないお客様もいますが、僕がおすすめした商品をしっかりとリピートしてくれているのを見て、ひそかに喜んでいます(笑)。
 

はる菜さんは、生活に必要なものがひと通り揃う、小さな個人スーパー。初めて見るものもたくさんあるけれど、どれも増田さんを通して選ばれたものだから、安心して冒険できる気がします。増田さんの「知らせたい!」が溢れたPOPを見るのも楽しい時間。

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棚の中にコンビニでおなじみのサラダチキンを発見。無添加、しかも鶏肉は国産!こ、これは......試してみたい!

最後にナナシノメンバーからの質問をひとつ。初めてはる菜さんを利用されるお客様にすすめるとしたらなんですか?


まず、お薦めするのは基本の調味料ですね。醤油は本醸造、天然醸造のもの。味噌も同じで、酒精(アルコール)の添加されていない生みそ。白砂糖は避けて、精製していない砂糖。あとは油ですね。この4つかな。

 

それに追加して、今の季節ならオーガニックのフェアトレードチョコ。栃木・田島さんの里芋もおいしいです。皮まで安心して使える国産の有機レモンもおすすめ。

寒くなってくると、おいしくなるのが大根、葉物。梅山豚(メイシャントン)の切り落としで豚汁もいいですね。自分が好きでおすすめしているのが、昔ながらの、酸っぱくてしょっぱい梅干し。本当においしいですよ!


 

おすすめを話し出すと止まらない増田さん。あなたも「マイ・ファースト・はる菜」を探しに出かけてみませんか?

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店名の由来

野菜を売っていることをアピールしたいので店名に「菜」は入れたいけれど、なかなか決まらなかった増田さん。そんなとき、奥さまが榛名山で知られる群馬の出身だから、「『はるな』でいいんじゃないか?」という理由で決定。

「店名はご家族のお名前?」と思いきや、こんないきさつがありました。

量り売りもしている野菜。秤はご近所のはにわ屋さん(伊興の自家焙煎珈琲豆店)からの譲りもの。

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月2回発行のお手紙

新商品の紹介や、こだわりポイント、セール・イベント案内などなど......。

お客様に伝えたいことが山ほどあるので、A4のお手紙でお知らせ。隔週発行で、直近のレターはなんと「498号」!

情報がぎっしり詰まっているレター。見落としてしまいがちな逸品もこれでしっかり予習できます。

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地域の情報ステーション

レジ横のラックにはチラシや記事の切り抜きなどがずらり。お客様やお店づてに自然と集まってくるそうです。最近は、子育て関連の情報が増えているとか。

「子どもや未来のことを考えて活動している人が地元にたくさんいることに、世の中面白くなってきているなと感じます。」(増田さん)

いつも何か新しい情報が入ってきているので、はる菜さんを訪れたときは要チェック。

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仲間との出会い

足立区の消費者と、野菜の生産地をつなげる活動をしているKAZENNO HITOさんとも仲がいい増田さん。一年半ほど前に「きちんとした食文化を足立区にも根付かせたいね」と意気投合。「ナナシノもそうですが、こうした仲間の皆さんと一緒に、自分もまだやれていないことをやってみようかなと考えています。」(増田さん)

KAZENO HITO古民家「野菜日和」とコラボも始まっています。

紹介したい商品が次々と出てくるはる菜さん。お話を聞かせていただいたあとも、チョコレートの種類がまたまた増えるので、店内の棚を入れ替えしながら「ああでもない、こうでもない」と楽しく(?)頭を悩ませているそうです。次に行くときにはまた、新しい発見が待っているんだろうな。

(文責:なおこ)

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▪️はる菜(有機野菜・自然食品・生活雑貨)

住所:足立区西新井4-31-16

営業時間:月〜金 10:00〜19:00(土・祝 〜18:00)、日 12:00〜17:00(不定期)

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