​「ちゃんと生きなきゃ」。そして今日もパンを焼きつづける。

colomさんのパンは、ちゃんと小麦の味がして、ふんわりしているのにしっかり焼き上がっていて、食べるとほっとする。町の人にとってもcolomさんのパンは、日々のごはんに、おやつに、欠かせない存在なのだろう。

パンを選んだのは、家族に食べさせてあげられるから。

パン屋さんを開こうと思ったきっかけを教えてください。

 

最初からお店を持つ気はなかったんだけど、子どもが幼稚園に上がるとき、今より時間ができるなと思って、何か手に職をつけたいと思ったんです。整体師やリフレクソロジーとかも考えたなかでパン教室で習うことにしたのは、パンなら「家族に還元できる」と思ったからですね。

パン教室を終えた後は、講座や自宅でパンを教えたりしていたけれど、お店を始めようと思ったのは、実家のある福島を襲った東日本大震災が大きかったかな。「人生いつ終わるかわからないんだ、ちゃんと生きなきゃ」って思った。それと同じような時期に友人が病気になってしまって、その友人に言われた言葉をきっかけに、「悔いのない生き方を送るにはどうしたらいいんだろう」って、改めて自分の人生について見つめ直したのが大きかったと思います。

それで物件を探し始めたんですね。今のお店はどうやって見つけたんですか?

 

ここはずっとシャッターが閉まっていて、「ここが自分のお店だったらいいなぁ」って、ずっと思ってたんです。日当たりがよくて、お店の前にベンチなんか置いたら素敵だな......って、自分がお店をやってるイメージがすぐに浮かんで。そしたら貸店舗の貼り紙が貼られたので、もう、すぐ電話しました。家賃もなんとか行けそうな範囲だったし、あとやっぱり家との距離は近いほうがいいなと思って、決めましたね。

角地にあって、南向きの窓から日がさんさんと入る店内は、冬場でもポカポカ温かい。

自分の作ったもので、心や体がちょっとよくなれたら。

真樹子さんにとってパンとは何ですか?

うーん......。自分が好きな食べ物、かな。コンビニパン、スーパーのパンの新商品を見つけるのが楽しみの一つ。いつも「こう来たか」的な発見をもらっています。市販品って、自分の出せないアイデアを実現させているから、すごく勉強になるんです。

 

材料、これとこれを合わせたらどうなるかな?と考えるのが楽しくて、それが「いい感じ」にできたときはうれしい。田中さん(定期的に野菜を届けてくれる自然栽培の農家さん)の野菜をみて、特に葉物なんか「あ、これ使えそうだな」って考えてます。

野菜というと、「グラタンぱん」のようなお惣菜パンでしょうか? 調理パン系は新しい素材の宝庫ということですね。次行った時はよく観察してみようっと。

では次に、真樹子さんにとって「コロン」とは?

ええ〜〜〜!? なんだろ。人生の学びの場、かな。本当に一日として同じ日はないよね。お客様が少ない日も、学び(笑)。お客様が店を作る。お客様が来てこそのお店だから。

最近、年を重ねるごとに考える習慣がついちゃって。最近の新型コロナのことなんかもあると、「パン屋として何ができるのか」って考え込んでしまって。でも、ふと気づいたんです。「『食』って漢字は『人を良くする』だな」って。そう気づいたとき、そういうことか!ってはっとしたの。そうだ、自分の作る物で、食べた人の心や体をちょっと良くできるといいって。

添加物とかオーガニックとか、これはいい、あれはダメとかいろいろあるけれど、食べたい時に食べたい物を食べて元気になるのが一番だと。根底にあるのは素材、美味しさ、店作り。そこ、ぶれないことだなって。

くまぱんとうさぎぱんは、お店の個性を伝える「看板メニュー的な存在」。親子で参加したパン教室で、動物の顔を模したパンにお子さんがとても喜んでいたのを思い出しながら焼いている。

弱さを認められるからこそ、周りからパワーをもらえる。

ここだけの話ですが、真樹子さんってお店の更新が来るたびに「これで最後かも.....」って言っている気が。お店を続けていくって、やっぱり大変ですか?

個人事業主はいつでも不安だから(笑)。だけどそのたび「あと3ヶ月、あと半年、がんばろう」って。続けていたら、その先は良くなってるかもって。自分ってメンタルが弱いから、お客様や、毎朝お手伝いに入ってくれている友人に励ましてもらってます。本当に、ありがたい存在です。

最近は月に2回くらいお休みを作ってるんです。これも長く続けていくための工夫。お休みの日は、溜まっていた家のことや、家族との時間をつくるために使っています。そのうち、気になってる近場のパン屋さんにも行ってみたいな。

「marucaさんが始めたから(笑)」自分もやってみようかなと作ったスタンプカード。スタンプを通じたちょっとしたやりとりから、お客様との距離が少し縮まったと感じている。

売り切れ必至!人気の日替わりパン。

定番のパンに加え、コロンさんには曜日ごとに日替わりパンがあるのをご存知ですか?火・土曜日:ドーナツ、水・金曜日:シナモンロール、木曜日:メロンパンなどなど。そのほかにも角食パンやカンパーニュなどの「レア」ものもチラホラ。気になる方は直接お店でおたずねください。

日替わりパンは数量限定。固定ファンも多いので確実に食べたい方はお早めに!

小さくとも、福島への思いをつなげたい。

毎年3月、「大震災の記憶を風化させたくない」と故郷・福島や東北の野菜や物産を紹介する「福島フェア」を開催。ささやかながらも、同じ福島出身の友人から言われた「派手な花火は誰にでも打ち上げられる。小さいことをコツコツやれる人は少ないんだよ」という言葉を胸に続けているといいます。

福島のお米や、お餅、野菜などを販売。顔の見える農家さんとの繋がりを大切にしています。

オリジナルバッグ第2弾を準備中

昨年(2019年)、好評につき早々に完売したcolomオリジナルエコバッグ。現在、第二弾を企画中だとか。真樹子さんはレジ袋削減などゴミ問題に関心が高く、ナナシノ商店街の「ローカルバッグ」の着想も、もとは真樹子さんとさくら園芸の涌井さんの「ゴミ」に関する雑談がきっかけで誕生しました。

コロンといえば、赤いテント。買い物バッグも赤が効いてます。次回のカラーはお楽しみに。

取材後記

このお話は、コロンさんがお休みの日にCafe majicaさんで伺ったのですが、majicaオーナーの恵子さんとのおしゃべりや、おいしいチーズケーキをお供にリラックスする真樹子さんの笑顔が印象的でした。どうかこんなお休みを意識して作ってもらって、笑顔絶えない真樹子さんを、この先もずっとお店のカウンター越しに見ていたいなと思いました。

ぱんやさんcolom

住所:足立区梅田7-29-20

営業時間:火〜土 11:00〜18:00​(売り切れ次第終了) 定休日:日・月・祝

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